◆ 平成十一年三月三日 (水曜日)
世の中「金」を馬鹿にしたような顔をする人がおるが馬鹿
にする人は逆に金の方から馬鹿にされる。「金」は大事
でも金の亡者や奴隷になってはならぬ。世の中、生きる為
には多少でも金は必要な筈で如何なる苦労をしてでも金を
つくらねば成らぬ。

金力は即ち実行力であるからだ。学問の秀才でも財産家の
中でも儲ける事の知らぬ人は実行力も無ければ人にも馬鹿
にされ重んじては呉れず金を失うからだ。其処に行くと相
場に目をギラギラ光らせる人、儲ける人は偉人なり。

例え損しても儲けた事の有る人は取返す事を知っている人。
呉れ呉れも愚か者にならぬ様に・・・。

相場の世界の落とし穴はただ判断の誤りと戦略の失敗。
常に奢らず流れに乗る機敏さが必要で持続性が無くては成
らぬ。陰に潜む魔物を見破り己に勝つ精神力を養う。

　大事な投資戦略２０ヶ条

◆ 平成十一年三月一日 (月曜日)
二月相場ニッコリ笑って買う月、買える月如何でした。
寶宝堂の方針、銘柄厳選物色買い方針に変化無しです。

本日から愈よ３月相場、兎も目覚めて走りだす月、美味し
い御馳走戴ける月。ＮＹに別れを告げた外人マネ－到来の
季節に入ります。外人機関投資家の日本買い強気姿勢の転
換は、世界マ－ケット昨年の時価総額占有率９、９％と低
下しているジャパンマ－ケツトに向いてくる事は確実。　

然も、騰落率９、３％の下落は買い手市場、買方有利の状況。
既に欧州マネ－等は米国撤退を開始し、其の資金は数百億
ドルと考えられ此の巨額な資金が流れ込む事は確実です。
現実に持合い解消売りを消化しての買越しはその証拠。
爆発前の準備の為の心構えと対策を心掛けていて戴きたい。

株式投資の戦略は、人それぞれ種々雑多で、意見分かれる所。
今日は至極当然の爺の常々の自戒と鉄則とも言うべき項目
を列記させて戴きましたので、皆様方の戦略として戴きたい。

①　意地ずくになって相場を張っては駄目。冷静沈着な判断
　　大事也。
②　相場に溺れても駄目。材料と流れを掴む事が肝心也。
　　流れに逆らう相場は自殺行為。
③　早合点の飛びつき売買、勘違い、間違いを犯していない
　　か反省すべし。
④　自惚れから相場を嘗めてかかってはいないか反省すべし。
⑤　一方に偏し過ぎていないか、仕掛け玉の点検を怠らぬ事。
　　違反行為は断じて禁止。
⑥　利食い腰、引かれ腰が共に強過ぎてはいないか点検怠ら
　　ぬ事。
⑦　相場に聞かずに人気や材料にとらわれていないか。謙虚な
    反省大事也。
⑧　理屈に勝って実践に負けてはいないか。チャンスを掴む
    嗅覚養うべし。。
⑨　相場は明日もあること忘れる可からず。身の回りにヒント
    が有る。
⑩　売るべし、買うべし、二刀流武蔵も相場の極意也。当たり
    屋に付くべし。
⑪　腹８分目以上の欲を掻き過ぎてならぬ。行って来い相場も
    相場也。
⑫　足取り線の鉛筆をなめ過ぎ、盲目になっていないか。全体
    見るべし。
⑬　勘と度胸と運ばかりに頼っていないか。調査・勉強励むべ
    し。
⑭　進退共にイザと言う時の用意と準備を常に怠らぬ事。借金
    相場は厳重な禁止行為。
⑮　売買益は手仕舞ってから確定する。取らぬタヌキの皮算用
    恐るべし。
⑯　己の資金力の投資資金配分率をしっかり決め、張り過ぎは
    禁物。不安の原因。
⑰　常に良き軍師の意見を如何なる時でも謙虚に伺うべし。　
⑱　利乗せ戦法こそ億万長者の必勝法。引かれ難平すべかざる
    事也。
⑲　常にタラレバを想定し、対応は臨機応変自在に徹すべし。
⑳　相場の仕掛けは武将の戦場に赴く心境と心得え、油断は禁
    物たるべし。

          以上の戒め御身離さず常にご覧有るべく候也

平成十一年二月二十六日 (金曜日)
◆ＮＹ株は割高とのグリ－ンスバン発言でＮＹが売られ、割安
日本株の外人買いは日を　追う毎に増加しております。昨年の
十月から四ヶ月間で八七七五億円の買い越しです。本年に入
り売り越しの日は記憶では無い筈です。二月の第一週五三〇億、
第二週三七〇億の買い越しです。本格的に買ってくるのは此
れからです。

一方、資産デフレ対策期待も高まり、先を越した不動産株買い
や、グロ－バルな再編を好感した自動車株買い、いずれも上昇
歓迎相場に映っておりますが銘柄を誤ると危険は申すに及びま
せん。浮かれず、調子に乗らず、爺の戦略に乗って戴きたいで
す。何度も申し上げた様に本年はビッグチャンス到来の年です。

此処、数回に渡って北浜・堂島の相場師についてお話しさせて
戴きましたが、相場の戦略は人それぞれ御座います。今一度、
今日は八人の特徴を一言にまとめ述べさせて戴きますが是非、
皆様の資産増大戦略に役立てて欲しい。

島徳蔵は「汚く儲けて奇麗に使え」と政財界関係者との太
いパイプのインサイダ－取引で儲け、性格は神経図太い典
型的な関西商人。金儲けの為なら仲間を裏切る凄腕で、戦
略も不思議に天が味方し、荒波をかいくぐり蠢いたドライ
な典型的な相場師。　

　岩本永之介は信念信条強く、人道を外れた事を嫌い、人望
は厚く人格高潔の人で性格は気骨の有る軍人魂の持ち主。
戦略は常に行き過ぎた動きに警鐘鳴らし最後は義理人情か
ら張った相場に倒れた相場師。

　高倉藤平は奇人・変人と言われた野心家で、狡賢い強欲の
持ち主、常に鎧兜に身を固めた仕手戦は「痛快な賭け」と
言い放ち、最後は貪欲な相場に疲れて病に倒れた相場師。

　松谷元三郎は天一坊と呼ばれただけあって、勘と度胸と記
憶力が特に優れ、奇襲作戦風説の流布、逆張り戦法、相場
師に付きものの不安心理の胸の内を「海中に飛び込む気持
ち」と表現しながら、天下をかき回し相場に生きた相場師。

　松井伊助は「幾度も溜めては落とす笹の雪」北浜太閤と呼
ばれ、莫大な儲けも最後は吐き出した悲哀の相場師。

井上徳三郎は英知明晰、利食い千人力、資産倍増、利食い
半分コスト引き下げ論を常とし仁義堅き「カラ売りの名人
」相場師。

野村徳七は気骨激しく、全ての判断力は、確実なデ－タ－
を重要視し、リスクを決して犯さぬ堅実派、調査研究を信
条に励み、相場に勝ち続けた野村証券の創始者となった相
場師。　　

石井定七は典型的な賭博打ちと言える相場師で、勝負に負
けても人間のけじめを最後はきちんと付けた、不思議な相
場師。　　　　　　　　

◆此れらの相場師たちは皆、波瀾万丈の相場に命を賭け、歴
史に名を残した人達ですが、現実は真似をしてはなりません。
然し一様に勘と度胸と知恵を駆使して戦闘に挑み相場に生
きた人々です。

株式投資の原則は決して相場師に成るのではなく戦略を盗み
取るのです。投資家は本業第一、余力投資に徹し、相場は全
て投機と心得え、常に油断大敵、時流を掴むべし。　仕手株
投機はお遊びと心得え謹み触る可からず。大欲は大損に通ず
る故です。利食い　千人力、投機は後悔すべからざる也。

　買うべし、売るべし、休むべしの余裕と資金配分厳格に
守るべしです。子細の戦略は　良き軍師に従う事が肝心
です。爺は其の為、存在するのです。此れ自賛に非ず、
実績を示すが故でござる。爺は皆様に考えて戴き儲けて
貰う。其の為、此のメッセ－ジを送り続けているので
す。

平成十一年二月二十四日 (水曜日)
◆一週間で１００円高。１０分間でストップ高。こんな株
をご覧になると、誰しも地団駄踏むものです。然し、乱高
下に目を奪われ、悔しがり、後悔してはいけません。

偶然・時たま・幸いにして、もし遭遇したら「ラッキ－」
ぐらいに考え、利食い千人力に徹して下さい。本当の金儲
けは調査と戦略にあるのです。株の世界は変幻自在、其の
時々によって強弱要因を変化させ、乱高下させ売買を繰り
返しているのです。

　例せば、曾てはリストラ企業は売りでしたが、日本電気
・ユニバ－サルに見るごとく買い材料に変化し高騰するの
です。相場は錯覚の連続、変化させドラマが演じられてい
るのです。常に勝利を得る為の、調査・研究・波動こそ肝
心です。今日は波乱の人　生を送った相場師「石井定七」
の話です。

◆二代目野村徳七が誕生した翌年、日本に初めて手形交
換所が誕生(明治12年)した時　に生まれたのが石井定七
です。幼名を北村与八と云い、13歳で大阪の材木問屋『石
井商店』に小僧奉公に入り、20歳の時、大将に無断で材木
の買占めを行い、大儲けし、後に「横堀将軍」と云われ出
した男です。与八の商魂・商才に惚れ込んだのが初代の
定七で与八の商魂を見込み、即座に娘婿に迎え入れ、二
代目定七を襲名させ、二代目定七に全てを任せ「今定
商店」に称号替えをし出発したのが天下の相場師定七とし
てのスタ－トを切ったのです。

◆当時、居住地の西横堀では、日夜サイコロ博打が、ご開帳
され張り手は船を操る荒れ暮れ男、それを相手に貸元を務め
ていたのが有ろう事か、二代目定七だったのです。

根っからのバクチ好き男で、目は鋭く、張り手をひねり潰す
勝負度胸は、典型的なバクチ打ちの姿だったのです。本業の
材木商売でも、日露戦争勃発するや「軍需景　気到来」と同
業者仲間の在庫木材を全部買占め、大儲けしたり、第一次大
戦が始まるや「非鉄金属時代の到来」と、銅相場に手を出し、
此処でも莫大な金をかき集めて仕　舞ったのです。

◆大正 5年には、神戸の船成金が、米相場の下落に目を付け安
値を拾っているのを見て、仲間と一緒に定七も買出動したので
すが、仲間の船成金が病床に倒れ、買い玉を処分し、投げ出
すと云う情報を耳にし、仲間には無断でいち早く、深押しす
る前に、損切り覚悟で即座に全部を売却したのです。

大量な売りに相場は一気に崩れ出し大暴落から立ち会い停止、
売り損なった仲間からは裏切り者と騒ぎ出し、告訴騒ぎに
発展し「詐欺師」と云うレッテルを張られて仕舞ったのです。

野望の為には手段を選ばぬ定七。大正５年、３７歳の時に
は既に数千万円の当時としては巨万の富みを手中にしていた
のです。

◆持つものを持つと「人間」度胸もスケ－ルも違ってくるもの
です。相場師７人組を結成し、布陣を張り、堂島の米相場の
買占めを断行し、飛竜の勢いで相場を大暴騰させさせたのです。
政府は「暴利取締令」「物価調節令」を次々に実施し、米価の
引下げ政策を全面に打ち出しました。「米騒動」は全国的に波
及し、遂に暴動騒ぎが発生し、堂島を焼打ちすると不穏な情報
が飛び交い、高騰に継ぐ高騰から、お定まりの暴落相場に突入
したのです。定七は、此の乱高下を利用し、再び利益を得るの
が相場師と己に惚れ込み豪語していたのです。

◆然し、スケ－ルを拡大すれば、曲がった時の損も此れ又大き
いのは当然です。休む事の知らない相場師の悲劇は、堂島か
ら北浜に移し「新鐘」の買占めを断行してから始まりました。

“猛虎も時を失えばネズミに等しい”株の世界の経験不足と米
相場で覚えた強引な手法は、遂に資金繰りにショ－トをき
たし、大量に買った株価は大暴落、「横堀将軍」と騒がれた
男も、４３歳にして力尽き、借金王に転落して仕舞ったので
す。

「無理な金繰り必ず敗れるべし」幾ら巨万の富みを一時的に手
中にしても、持続性の無いのが海千山千の相場師の世界。後
々、すぐに崩れる不安定な金儲けは本当の金儲けでは無い証明
です。「勝てば官軍負ければ賊軍」相場に破れ、拘置所に拘留
され、大正15年に破産宣告を受けて仕舞ったのです。

所が不思議にも、何処からか資金をかき集め、昭和２年には、
負った借金を返済し、破産宣告の取り消しを成功させたから驚
きです。破産宣告を受けながら“借りは借り”と、借り手に立
派に返済したのです。定七が今尚、後世に語られる所以は此
処に有るのです。昭和２０年、敗戦の年の暮れ定七６７歳
にして交通事故に遭遇。車に当たり急死したのです。　

最後の相場に敗れ、最後の人生、車に当たって死んだ定七の皮肉
な物語りです。

◆爺は皆様に考えて戴き儲けて貰う。其の為、此のメッセ－ジ
を送り続けているのです。

平成十一年二月十八日 (木曜日)
◆昨今の個人投資家離れに伴い、市況の見通し不鮮明が加わり、
出来高が伸びず一気に好材料が出現しても、巻き上げ、切り返し、
吹き上げる本格的な上昇の機運・環境が整なっていないのが現状で、
痛め付けられた投資家はそれだけ、警戒心が強くなっている証拠です。
然し、相場の上下の損得は時の流れ損する人は見通し甘く、判断誤っ
た結果で、非情な相場の世界では当然の報いと云わねばなりません。

愚痴こそ禁物　取られたら取り返す根性が必要です。地合い軟化の中、
日柄満了銘柄の芽が一斉にでて来ました。

◆今日は“己を知り己に生きた”立派な相場師の話しです。
「算盤も嫌な返事で縦に振る」英知明晰にして何事に対しても蔑ろに
しない人望高き井上徳三郎のお話しです。　

何故か紀州和歌山生まれの相場師は多くおりますが、紀州一の人望高
い相場師はこの人が最長けておるのです。醤油醸造の末っ子として生
まれ、醤油お酢の行商に嫌けしてアメリカ渡航を考えましたが、母親
の反対で断念し、綿糸の「落綿屋」で働き、28歳で結婚して大阪・堺
に、敷金30円、家賃3円で新居を構え、相場を張り出したのです。

此の頃の風呂代（銭湯）と、うどん代金が共に 1 銭。梅田から道頓
堀間での電車賃が 4銭の時代で、運悪く新婚数カ月後に、夫婦同時に
病に倒れ、焦りに取付か　れ手を出したのが相場師の出発です。

持って生まれた嗅覚と運の強さはほぼ全勝の成　果を収め、39歳で縁
有り、大阪株式取引所の仲買人になり、翌年、40歳で北浜市場に進出
を計ったのです。

◆徳三郎の投資戦略は常に利食い千人力を信条としながらも、常に買
い玉全部の利食いはせず、半分利食いの手持ち残株コストの引き下げ
戦法を選び、現物株の資産倍増が口癖だったのです。無理せず堅実才
智、融通無辜こそ必勝の秘訣と云うのです。

政治・経済論議と読書を好み、見聞を広める努力怠る事のしない人で、
上下平等・待　遇・利益配分・正義と責任感は特別に強き人物だった
のです。親友のピストル自殺で悲惨な最期を遂げた岩本栄之助の、
死後の財産整理でも、債権者支払いの為ならと、当時では全く例の
ない破格の高値で家屋敷を買い取り、財産　整理を行い、親友への友
情徳三郎株は関係者に深い評価を与え上げたのです。

◆売りの名人でもあった徳三郎は常に「弱徳」とも呼ばれ、不思議に
利を絶えず得ていたのです。当然、無念雪辱の苦戦も有りましたが、
取られたら取り返す根性は人一倍に慎重の中にも闘争心を燃やし続け、
勝利を獲得し続けた相場師です。56歳の時、病に倒れた時、苦笑苦観
のおもいを「踊り子の疲れて眠るや盆踊り」と読み、病回復　するや、
日本郵船の買占め劇には、野心に燃えた高倉・島徳和解に、北浜信託
社長として奔走した事、徳有る徳三郎の株は上がりっぱなしだつたの
です。

「気短は聞かずに帰る時鳥・三度来て暫く聞きし時鳥」徳三度は長夢
庵禿山の号を持ち、其の時々に詩を詠み感銘を与えた人でも有るの
です。
背景の無き夜の堺筋値の出る前の算盤糞度胸極まる暮れの20日過ぎ昭
和 6 年慢性肝臓炎６６歳で夜路の旅に旅立ち、此の時、「徳さん死亡」
が新聞各紙に報道されるや、徳さんの徳を大阪中の人々から惜しまれ
たのです。

◆醤油樽を拾い歩き、大阪北浜に出て、見習い奉公から一家をなし、
途中、病魔に侵されたり、草履のごとく擦り減らした下駄で毎日、一
日中、大阪の街を歩き回った苦汁の時代があった結果の徳ある徳さん
は本当に偉き人だった。

爺は皆様に考えて戴き儲けて貰う其の為、此のメッセ－ジを送り続け
ているのです。　　

平成十一年二月十六日　(火曜日)
◆愈ょ、日銀の輪転機がフル回転しているのか、銀行での引出金はピ
ン札ばかりです。外人筋は依然と買い越が続き、波乱は微妙な展開と
なって来ております。

日銀の金融政策決定会合での短期金利の低め誘導の積極的な意思表示
は更なる景気対策に対する今後の決意の表明で有り動向注意怠れぬ
処です。今日は北浜太閤の話です。

◆紀伊国屋文左衛門に勝るとも劣らぬ北浜太閤。本名「松井伊助」
ですが仇名の由来は豊臣秀吉に似て小さいからだの知恵者だったから
です。小心者と違って知恵・金・権力の三拍子を兼ね備え、別邸には
大きなライオンの石像を置き、広大な庭には　本物の汽車を子供に与
え、走らせていた男の話しです。

◆そこえ行くと同じ紀州生まれの元禄時代「沖の寒いのに白帆を立て、
波風犯した蜜柑船」俄か成金を射止め、晩年はスッテンテンに成った
あの紀伊国屋文左衛門は馬鹿の代名詞で、お金の有り難味を嘗めて
かかり、江戸の火事で材木を買い占め、庶民　を泣かせ、己の欲望と
快楽の為には手段を選ばぬ所業、江戸小判を火箸で穴を明け、コヨリ
輪を造り子供のオモチャとして与えたり、料亭では毎日、女をはべら
かせ飲めや歌えの大騒ぎ、蒔絵箱には銭蟹数百匹を入れ、一匹一匹の
甲羅には金色で女郎と客の紋を描き、座敷中にバラ撒いたり、花街や
芝居小屋に出入りし、一升桝に小粒金を入れ、豆みたいにバラ撒いた
り、船遊びには必ず金の蒔絵の杯を次々に流し、紀文大尽」と呼ば
れ、儲けっぷりと金の使いっぶりは桁違い、超ど派手な行動は、江戸
ッ子の肝を潰した男で、其の自惚れた末路は、人の不幸や苦しみに付
け込んだ悪行の科咎めで財産没収、折角掴んだ金も一瞬にして失い
「一夜成金の一夜乞食」となり　野たれ死んでしまった男とは大違
いなのです。

◆大正時代の成り金もひどかったのです。「のんき節」が流行り、料亭
の玄関で百円札を燃やしロ－ソク代わりにして、履物を探した男、
痛んでもいない歯を全部抜き、金の　総入歯にした機織り女、お吸い
物の蓋をあけたら生きた鴬を飛び出させたり、女工の指にはパリ製の
ダイヤモンドが光っていたとか、愚劣な一夜成金の狂態はいつの世も、　
金を持つ資格の無い人が、金を儲け持つと始末が悪いものなのです。　

◆北浜太閤は悪材料が重なる最中、非合法の日本共産党が結成され、
関東大震災が突如襲ったった時「天災は買いや！」と他人の不幸を付
け込んだのでは無く、株式投資の格言を実践に写し大儲けしたのです。

日本郵船の買い占めにも参加し大儲けしながら相場の世界の厳しさ
「幾度も溜めてこぼす笹の雪」「沢山積んでは落とす松の雪」馬　鹿な
相場は張りませんでしたが、最後は相場師の悲哀、儲けを吐き出し急死
したのです。相場師になってはだめです。地道な戦略と分に応じた投資
戦法こそ億万長者の必　勝法なのです。寶玉堂は其の為、資金配分厳格
にご助言申し上げている。爺は皆様に考えて戴き儲けて貰う。其の為、
此のメッセ－ジを送り続けているのです。

　平成11年 2月 8日 (月曜日)
◆２月入り第一週目は５日間、日経平均連続マイナス引けでした。今週も
下がれば天与の買い場、ニッコリ笑って拍手・拍手の週です。狙い目はあ
くまでも銘柄厳選、日本を代表する低位株です。具体的な銘柄と戦略は是
非寶宝堂までご一報下さい。

◆今日からは明治・大正・昭和の相場の魅力に取り憑かれた相場師の話を
させて戴きます。何時の世も相場は魔物と云われ、七変化を繰り返し、歴
史を刻んでいるのです。彼らの生々しい機略の計算に息づく人間像は、一
般の投資家の粋を越え、ドラマが展開され、其の陰に巨大な経済の重圧が
立ち塞ぎ、立ち向かう縮図が潜んでいるのです。

◆彼達の演じた舞台は取引所に凝集されていたのですが、此の取引所の起
源は実に徳川　時代から発した米穀取引所に始まっているのですが、当時
の経済の中心は大阪の、北浜・堂島が相場師の活躍舞台だったのです。

相場の「相」は姿態を示し、相場　の「場」は空間なのです。相と場が重
なり摩訶不思議な相場の世界が脈動し、ドラマと成り，相場師の姿が浮か
びあがって来て、其の脈動の中には、何時も恐怖に取り憑かれた貪欲な人
間像が浮かびあがって来るのです。然し、此れからお話しする相場師は一
切の執着、概念を捨てて“酒の肴”程度のお話しと思って聞いて下さい。

◆一番手は“汚く儲けて、奇麗に使え”を実践した相場師、島　徳蔵の話
しです。

　明治・大正・昭和の三代にわたって生き抜いた機智縦横にして勇往
邁進の相場師なのです。島徳さんの性格は、大胆にして政界政党関
係者と太いバイプを持ち、彼らと結託して相場を張り大儲けした人
物なのです。云わばインサイダ－の元祖かも知れません。

関西人独特のドライな商売根性は、他人の批判や攻撃にも“知らぬト
ンべイ”“屁の河童”遊びもアクの強さも芯の太さも、神経の図太さ
も、ピカ一、典型的な北浜関西人だったのです。

◆父親は“お辞儀の徳さん”と云われた堂島の仲買人で、電信柱にも
頭を下げると云われた人格円満な人柄で、性格は親子雲泥の差、月と
スッポンの違いだったのです。

明治末期になると島徳は、野村徳七・梅原亀七・高倉藤平等と肩をな
らべる程に頭角を顕し、大正時代に入ると、岩本栄之助・野村徳七・
島徳蔵の三勇士と云われ出し　飛ぶ鳥を落とす勢いで金を儲けていた
のです

◆島徳の大儲け第一弾は、第一次世界大戦真っ最中の「東株」と「日
本染料」等の増資新株の権利取りとサヤ取り、そしてインサイダ－を
含めての荒稼ぎは物凄かったのです。情報をくれた政治家関係者と連
日料亭では奇麗どころを侍らかし豪遊の宴に興じ、札束をバラ撒いて
居たのです。政治手腕と金の力で、大正５年に大阪株式取引所の６代
目理事長に就任し、資本金を６倍半にさせたり、短期の清算取引市場
を開設させる一方「シャントリ」と呼ばれた上海取引所設立の利権を
手に入れ、株価操作　で巨万の富みをかき集めたのです。

現在、此の行為は重大犯罪ですが当時は特権でも有ったのです。

◆其の株価操縦の手口は実に汚く仲間を騙し裏切っての金儲けだった
のです。曾ての仲間に“テントリを買いなはれ！浮動玉も少ないしチ
ョツト買い煽れば棒上げや”と静藤治郎と云う男の耳元で囁き、島徳
を信じた静藤は即座に株集めの買いを入れたのです。テントリとは天
津取引所株の事です。此のとき既に島徳は大量にテントリ株を　持っ
ていたのです。そして静藤が煽り値を騰げた所を、わからぬ様に売り
逃げて居たのてす。静藤はゴッソリとテントリ株買ってしまい泥沼に
嵌まり苦境に陥ってしまったのてす。仲間を裏切り騙して売り逃げた
島徳此処でも大儲けし、晩年は悠々自　適の生涯を過ごしたのです。

◆一方、テントリ株をゴッソリり持ってしまった静藤も偉かったので
す。浮動株のほとんどをかき集め、苦境の静藤が潰れると噂を自ら故
意に流し、嘗めてかかったチョ－チン筋の売り込みを誘い、逆日歩責
めに発展させる戦法に出て、売り方を締め上げ、解け合い事件に発展
させ、彼も大儲けをしたのです。株の世界、相場の世界の不思議と、
非情な世界、戦略に蠢く相場師の裏側の一面ですがいかがですか。

爺は皆様に考えて戴き儲けて貰う。其の為、此のメッセ－ジを送り続
けているのです。　　

昭和２６年、イガグリ小僧が証券業界に入社し、既に半世紀を
証券業界で活躍し、２３歳の営業所長時代には、相場の神様と云
われた相場師山崎種二が “早や抜きの丸チャン" との噂を
聞き、飛んで来た程の相場上手な男。
欲太郎グル-プ・寶玉堂グル-プの主幹としての活躍は知る人ぞ知
る一世を風靡させた痛快な男。現在も東証ペンクラブの個人会員
として執筆活動を行う一方、平成10年7月 ○○投資顧問の会長と
して着任。 “兜町の花咲爺" として本格的に“枯れ木に花を咲か
せる"為、目下、活動開始中。
（注：休眠顧問会社を蘇生させたが悪党社長に手を貸す雲行きなので
　　　二年間で顧問会社との縁を切り真面目な仲間と気楽な情報交換
　　　で現在は楽しんでいる）

　平成11年 2月 5日 (金曜日)

◆４日の朝方、外人動向は相変わらず連続、売り越し先行から始まり、良
き買い場を形成して来てくれております。大勢が弱気で下げて来た所を
ニッコリ笑って買う月、買える月レポ-トの如しです。

銘柄と戦略ははあくまで寶玉堂の方針厳選対処で望んで下さい。　
公開株は相変わらず入札から初値は大幅上昇、兜町の宝クジ健在です。
今後の募集株、是非、申し込んで見て下さい。割り当て決まれば当分美
味しい御馳走の筈です。

扠、今日も昨日から始めさせて戴いた落書きシリ-ズ２回目を話させて
いただきます。
◆兜町の象徴だった証券取引所の株式売買立合場が、平成11年 4月に、
120年の歴史に幕るを閉じる事に成った事は皆様ご承知のごとくです。
理由は売買システムで取引する銘柄の増大に伴って、立会い銘柄は徐々
に減少し、特に昨年３月には全銘柄をシステム取引の対象にした事で、
立会場での取引は全体の６％程度に低下し、維持費は年間３億円を突破
し、ビックバン（金融大改革）の波による市場間競争激化に備え、コス
ト引き下げの為の処置なのです。

◆此の立合場の閉鎖は、関係者を始めとして投資家の方々からも、時代
の流れとは云え、強く惜しまれ、寂しがられ、独特の手サインで株式売
買をしていた最高時約1500人いた場立ち達は完全に姿を消して行くの
です。

空き家になる１８００平方メ－トルの　空間面積跡地だけがポッンと残
るのです。再利用案にビャホ－ルかダンホ－ルにしたらどうかと、下ら
ぬ案が出た揚げ句、当面、展示会場とする事に決定したのです。爺は若
き時代、場立ちをしていたので、何か空虚な感じと今、耳を澄ますと暴
騰時の歓声や、暴落時の地鳴り、そして良きライバル仲間や先輩の顔が
蘇って来るのです。此処で揉まれ鍛えられ兜町のあらゆる善悪のノウハ
ウと本当の『金儲けの味』と『技』を知った所だからで御座います。

◆古今東西、場立ちは、証券界の常に花形で憧れの的だったのです。昔
は立合開始を知らせる小僧の拍子木から始まり、大将（社長）から番頭、
手合取りの小僧達も皆んな木綿の着物に前垂れ掛け姿で、古きしきたり
強く人情と駆け引き合い乱れた貪欲な相場が展開され、悲喜こもごも仕
手戦の歴史が繰り返されていた場所なのです。

戦後の爺の時代は“寄付き”“大引け”は拍子木に変わってベルの音で
始まりベルの音で終わりましたが、此の寄り引けの用語は実は花街言葉
から来ているのです。　兜町の言葉はかなりの花街言葉が御座います。

株式を移動した時は“ハメ込んだ”　と云うのです。株数の残高を“ケ
ツ”と云いいます。　“寄付き” は勿論、女郎屋の大門が開き始まる事か
ら引用されたのが語源で、“大引け”は吉原大門閉まる時の事なのです。

サインも十万株は指で十文字を書き、人差し指と中指の間に親指を突っ
込む女握りで示すのです。

株数の事を「玉」と云うのも芸者の花玉代から来ているのです。

◆何時の世も散る時は、悲しき物語りなれど、此の立合い場の閉鎖によ
って２１世紀の本当の“寄り付き”幕開けと成ればそれも又 “善し" で
御座いましょう。

　明日は明治の相場師に付いてお話をさせて戴きます。
　爺は皆様に考えて戴き儲けて貰う。其の為、此のメ
ッセ－ジを送り続けているのです。　
　　　　　　　　　

　平成11年 2月 4日 (木曜日)
◆本日から西暦２０００年を前にして、現在の相場指針と将来の展望に
役立てばと、此処に証券市場の歴史を返り見ながら落書きシリ－ズを
組ませて頂きます。

まず 2月3日の市況、兜町情報朝方、外人売り2300万株、買い1300万
株、差し引き1000　万株の売り越し。債権市場の続落、金利上昇、円高為
替介入警戒と日経平均１６９円安でした。

新聞紙上を賑わす銘柄の飛びつき買いは謹んで下さい。姥桜銘柄ではな
く新鮮な儲かる株を掘り当てるのです。寶玉堂では常に銘柄と戦略の指
示・助言を申し上げております。それでは始めに取引所の設立の意義か
ら本日は述べさせて頂きます。

◆株式証券取引所の設立は銀行と並んで日本の金融制度の近代化にとっ
て欠かせぬもので明治維新からの政府財政の基盤を固め、近代的株式会
社制度の基礎固めとして東京の兜町に西洋風の木造二階建ての証券取引
所が明治11年6月に開業したのです。　

開業当時の正面玄関には日の丸を掲げ、まわりは提灯で飾られ、取引所
を見ようとする物見高い見物客がわんさと押し寄せ、陸軍の軍楽隊が演奏
する中、政府の錚々たる顔触れが出席し、群衆の万歳の声に迎えられ公式
な証券取引所が出発したのです。

◆取引所開設以前は、ご存じ大阪の堂島に帳合米市場と云う、米の市場
が有り一定の手付け金を入れ、セリ売買で値段と数量を決め一定時期に
受け渡しをする差金決算を目的とする制度を引き継ぎましたので、相場
が動くというだけの商いに目を付け、金融制度の近代化とは程遠くバク
チ的な投機の対象としての市場の出発でした。

◆取引所開設以前の政府の財源は国際の発行に頼り、武士階級に対して
禄高に応じて割り当て売買・譲渡・質入れ禁止を行っていたが、密かに
商人・地主・事業家階級に担保に入れての仲間売買から両替商も加わっ
て、ロウソクの灯火の下に取引が行われていた為に整備の意味と公正な
価額形成取引の円滑化が目的だったのです。

◆兜町の由来は、八幡太郎義家の東征に起源を発し、今でも四方橋で囲
まれ当時の面影が少しく感じられますように、附近は入江が深く湾入り
し下総方面への渡し場だったのです。丁度、船に乗った義家は荒れ狂う
波を静める為、着ていた鎧を脱いで海神に供えた事から鎧橋の名が付き、
兜を土中に埋めたので兜塚と名付け、兜神社が建ったのが兜町の起因で
す。

兜町が天下御免の投機場たる歴史の縁由も花街の浜町と遊郭女郎街の元
吉原（現在の人形町）と米相場の蠣殻町に隣接し、江戸時代に活躍した
怪盗・鼠小僧次郎吉のテラ銭稼ぎに端を発していたのです。　

◆兜町も蠣殻町も江戸時代は大名・旗本の武家屋敷で、付近に米問屋・
米屋敷と呼ばれ米蔵がある閑静な場所でしたが此処に証券取引所を設立
させた発起人こそ、渋沢栄一だったのです。当分、兜町に拘わる歴史と
現在の相場感を取り混ぜた落書き話しをさせて頂きますので酒の肴の一
興と思って聞いて下さい。

爺は皆様に考えて戴き儲けて貰う。其の為、此のメッセ－ジを送り続け
ているのです。

　平成11年 2月 3日 (水曜日)　　　
◆ 2月 2日の市場は朝方、外人売り２８５０万株に対して、買い１４０
０万株。差し引き１４５０万株の売り越しと依然、決算対策からの株式
持ち合い解消売りらしき機関投資家・事業法人らしき売りが加わり、堺
屋長官の解消玉の受け皿として浮上した「株式買い取り機関」の構想に
対する否定発言も重なり日経平均は１１５円安。益々、個別銘柄厳選プ
ロの助言が必要な時となって参りました。寶宝堂では毎日きめ細かな戦
略、対処の方針に付いてご助言をさせて頂いております。　

◆昨日は日銀株の暴落から「円安」「日本経済の先行き不安」と暗い話
になりましたが、今日は一つ元気の出るデノミ実施の相乗効果に付い
て話させて頂きます。
　昭和33年にフランスは「デノミを２年後に実施する」と前置き宣言
をしたのです。
　その直後から、僅か１ヶ月で１０％の上昇を演じ、翌年は３５％、
翌々年（昭和３５　年）は２５％、３年目（昭和３６年）には何と
１９％の上昇を演じたのです。僅か３年間で株価は２倍に跳ね上が
ったもの続出でした。日本とフランスのデノミの因果関係は説明の
必要の無い程、二重写しに見えるのです。

◆現在の証券市場は、平成元年からの大幅下落に因って、１０分の１、
２０分の１の安　値に下落したままの株は理屈は兎も角ゴロゴロし
ております。其の中、不良債権焦げ付き企業は、淘汰の波に飲まれ、
消える運命と吸収合併の渦は今尚其の渦中、真っ最中で御座います。

淘汰のピ－クはまだまだこれからと覚悟していて下さい。その渦に
巻き込まれぬ為にもボロ株、危険な株、怪しい銘柄には手を出さな
いで下さい。日本を代表する企業に絞り込む事肝心です。

デノミが有っても無くても此の一流株なら間違っても命を取られる
事は無く一番安心、恩恵を得る事疑い無しです。

此の時期、怪しき情報の仕手株には絶対に手を出さ無いで下さい。
一時は儲けても必ず大損が待ち構えておるのです。

◆デノミ実施となりますれば、経済に活気が漲り、業績も上向き、証券
市場は正常化して来るのです。デノミ宣言が発令された時の相場を想
像すると、心がワクワク踊り出したい気分です。“噂” “期待感" こ
れだけでも株価は騰がり、投資家心理を刺激するのです。
ましてや現在の相場は諸問題を抱えていながらも、生き残り組と淘汰
の渦に飲まれて行く二極化現象激しき時です。

株式買取り機関よりデノミ実施宣言の発令こそ「日本経済蘇生のカン
フル注射」になる事、疑う余地のなき所です。

　貿易黒字の経済摩擦も米国経済の好調期に相殺され不安無しです。

◆デノミ効果は、上場企業の単位未満株の整理促進効果にもつながり、
制度上変化が　無いと思われる企業業績にも大きな変化を与え、株価
は一夜に急騰し、一夜に株成り金誕生続出の可能性も夢でもないかも
知れません。十分現実味を帯びたお話とはお思いになりませんか。福
田も田中も竹下も中曽根も皆、当時の総理大臣の椅子に座り、此のデ
ノミのタイミングを狙い、歴史に名を残そうと思っていたのです。
　現小渕総理は目を輝かせ色気を出して賛成の意向を側近に表明してい
るらしいとの噂も入って来ております。デノミとの因果関係はインフ
レ・資産運用・物・金・土地等のすべての要因を含み、それを反映す
る株式投資が端的に即効性を含み一番良いのです。

◆狙い目株は何と云ってもデノミ関連株が一番、早い物勝ちとなるのです。
その時期はそう遠からず訪れる気がしてならないのです。歴史を振り返
り見て、世界経済と日本の現状を相殺すると、今の不況はコップの中の
嵐かも知れません。この日が訪れるのがとても楽しみです。

２月の前半安値歓迎、買い場狙いで対処します。爺は皆様に考えて頂き
儲けて貰う。其の為、此のメッセ－ジを送り続けているのです。

　　平成11年 2月 2日 (火曜日）
◆ＮＹ市場はＧＤＰ成長率 5,6％と予想を上回り、インフレ無き発展を改
めて確認され、利下げも期待出来ると高値更新中。日本景気も底入れ感
が台頭し、鉱工業生産指数等のマクロ景気に回復の兆しが出て来ました。

在庫調整も進み、兜町には警戒論依然根強く有るとは云え、希望的観測は
高値歓迎ム－ドで御座いましょう。然し、油断禁物、安心の裏に魔物が
潜んでいる事忘れず対処して下さい。
戦略は常に寶宝堂の方針見つめて頂きたいのです。

◆日銀株の暴落に今、諸説入り乱れ論議噴出しております。日銀出資証券誕
生の原点は、封建的な社会経済制度の撤廃と、欧米先進諸国の近代的な金
融制度の円滑化を目的として発足したのですが、私立の三井・三菱を始め、
その他の市中銀行への間接金融方式が、直接金融方式に対して優越的な地
位を固める一方、証券制度は表面的に整備されながら、大衆の株式直接投
資の蓄積者は少なく、有力企業対日銀のファシリティに圧倒された船出は
“株は危険な投機”“銀行は企業育成”との認識と維新以来のインフレ政
策からデフレ政策コントロ－ルの役を果していたのではなかったのではな
いでしょうか。

◆その頃の証券取引は、売買手数料や税金を収めない秘密場外取引が行われ、
大阪府警が堂島・北浜の役員と仲買人、その他の関係者千数百人を検挙す
る事件が起き、株に対する不信感が湧出し、是正の為の会員組織が直後に
誕生したのです。ベルリン取引所条例を模範としたブル－ス（取引所）
条例の制定です。此処に江戸時代の米相場に源を発する投機的取引と営利
主義原則に立つた証券市場の出発が有ったのです。
　証券市場の当時のエピソ－ドのお話は後日にさせて頂き、俄に論議され始
めたデノミに関連したに日銀出資証券の話を続けさせて頂きます。

◆日銀出資証券の最近、ここに至っての暴落の原因を分析して見ました。
まず、
==金融システムを背景に「最後の貸し手」日銀のバランスシ－トの拡大が続
いているのです。即ち資金拠出が増えているのです。日本経済市場安定の為、
大量な資金を供給している事です。
==為に日銀資金の焦げ付きは「日銀＝円」の信用を揺るがす恐れが出て来てい
　るのです。９０兆円近くまで膨らんでしまって来ているのです。
==今年、１月１０日現在の日銀の総資産は８６兆６７６６億円。昨年の９月に
　比べますと１０％の増加です。内訳は預金保険機構向けの貸し付け金が７兆
　１６１億円と約６兆円の増加です。
==特別融資と金融機関の日々の資金ぐりを支援する貸出金は１兆８０００億円。
これらを合わせた信用秩序維持政策に伴う日銀信用は資産の１０％を占める
　のでございます。

◆此の貸付金が焦げ付く可能性は大きく、幾ら金融危機の安定を条件としても
　日銀出資　証券の体質不安は募ってしまう訳です。「新金融安定化基金」経
　由出資分の８００億円が消え、湯水の救済融資悉く焦げ付いたら、資産の劣
　化が強まり、誰だって溜まったものではない筈です。まもなく日債銀向けの
　貸し付け金も出ます。大手銀行も融資受諾の手を上げ、山一の債務超過の拡大
　は完全に貸し倒れになってしまったのです。

◆日本銀行は日本の顔なのです。基軸通貨ドルに対するユ－ロ－の誕生も円に
　対する地位が埋没する可能性も警戒せねばなりません。
　資産膨張の反対側のバランスシ－トの負債も膨張し「円為替の急落」も警戒
　せねばならぬのです。社宅問題も異常です。此の異常事態が日銀株の大暴落
　の背景で日本経済の姿なのです。英国のベアリング破綻の時のイングランド
　銀行調査報告書にあった「説明責任」焦げ付が一番怖いので　す。

　明日は元気の出る話をさせて頂きます。爺は皆様に考えて頂き儲けて貰う為、
　此のメッセ－ジを送り続けているのです。　

平成11年 2月 1日 (月曜日)
◆昨年末の仕込み株、１月中旬、日わずかにして、花咲き掬い取り、
　年初の広告では、喜びの「喜喜買買方針」既に仕込み済みを宣言
　させて頂きました。 “金儲けは長生　きの常備薬" ナノです。
　今回、レポ－トの二銘柄を含め、一月最終日にはアッと云うまに
　再び飛び出し、狙い目通りの動きになって参りました。

　仕手株に非ず、眠れる獅子の大型株、日本を代表する一流株、恐
　らく会員様でも、きっとこんな株が騰がるのかと不思議にお思い
　になられたのでは無いでしょうか。
　寶宝堂では目先のブレは気にしません。流れを掴むのです。２月
　も安ければ、ニッコリ笑って、喜び買うのです。買える月なのです。
　銘柄と仕掛け、手仕舞いのタイミングは、皆様にはしっかりとご助
　言させて頂いております。

◆さて、先週末の落書き帳、日銀出資証券のお話しをさせて頂きまし
　た所、物凄いお問い合わせが殺到し吃驚り仰天でした。

　特に資本金と株価についての戦前・戦後の歴史、資料のり資料を欲
　しいとの問い合わせ３０数件も御座いました。昔の事は関係ないの
　では無く、古きを尋ねる温故知新、ご関心が高かったのかも知れま
　せん。今日はまずお詫びを先にさせて頂きます。日銀株の現在値を
　9000円柄みと申し上げてしまいましたが９万円が本当です。

　明治１５年に設立され、当時の株価は１５０円でした。出資証券に
　変更した当時の昭和１７年も１５０円柄みで、終戦の年は１３０円
　に下落。昭和２４年、証券取引所が再開された時は一気に１００
　０円を突破して来たのです。昭和４０年、大蔵大臣、田中角栄の
　時には２５５０円の高値更新をし始め、バブルの頂点ではデノ
　ミ論が浮上し７５万５０００円まで大暴騰大変身をしたのです。

◆設立当時の明治政府は封建的な社会制度を撤廃し、国家統一の新し
　い「新貨条例」と「国立銀行令」を発令させ、金融の円滑化から紙
　幣統一に動き出したのが設立の動機です。設立当時の趣意書には
　「今日設立スル我中央銀行及ヒ国立銀行ノ若キハ、素ト是レ商業銀
　行ナリ、故ニ其貸付期間オ長クスルトキハ、大ニ金融オ渋滞シ、商
　業オ阻擬スルノ患アリ、敢テ農工資本ノ貸付ト同視ス可キニ非サルナ
　リ」と格付け定義を発したのです。
　日銀総裁の権威は局長を指揮し、大蔵大臣おも私邸に呼び付ける程
　の権力を持っていたのです。日本のロ－マ－法王とまで云われた時
　代てした。

◆明治恐慌から、日露戦争、第一次大戦、関東大震災、昭和恐慌、第
　二次世界大戦、そして敗戦から復興、バラ色経済の発展から山一・
　和光への日銀特融を決めたヨッシャの角さんの時代、バブル狂乱の
　渦にも日銀は日本の顔として燦然と輝き現在も君臨し続けている出
　資証券なのです。株価は現在、高いか安いかは別としまして、

７５万５０００円から只の９万円に暴落してしまったのです。

　特に此処数カ月の下げピッチは半年前の１２万円から１０万円を切
　って来たのです。明日は此の日銀の暴落の原因と円の行方とデノミ
　に付いてもお話をさせて頂こうと思います。

◆寶宝堂のホ－ムぺ－ジには随時、毎日、打ち込んで参りますので是
　非、活字を通しお考え頂くと更に、深くご理解が頂けると思います。
　いずれにしましても兜町は宝の山です。幾ら儲けても良いところで
　す。遠慮せずに皆様、共に一緒に儲けようでは有りませんか。

　爺は皆様に考えて頂き儲けて貰いたい。その為、此のメッセ－ジを
　送り続けているのです