今日は波乱の人生を送った相場師  「石井定七」  の話です。

◆二代目 野村徳七が誕生した翌年、 日本に初めて手形交換所が誕生(明治12年)した時に生まれたのが  石井定七  です。 幼名を北村与八と云い、13歳で大阪の材木問屋石井商店に小僧奉公に入り、20歳の時、大将に無断で材木の買占めを行い、大儲けし、後に 「横堀将軍」 と云われ出した男です。 与八の商魂・商才に惚れ込んだのが 初代の 定七 で 与八 の商魂を見込み、即座に娘婿に迎え入れ、二代目 定七を襲名させ二代目 定七 に全てを任せ 「今定商店」 に称号替えをし出発したのが  天下の相場師 定七  としてのスタ−トを切ったのです。

◆当時、居住地の西横堀では、日夜サイコロ博打が、ご開帳され張り手は船を操る荒れ暮れ男、それを相手に,貸元を務めていたのが有ろう事か、二代目 定七 だったのです。  根っからのバクチ好き男で、目は鋭く、張り手をひねり潰す勝負度胸は、典型的なバクチ打ちの姿だったのです。 本業の材木商売でも、日露戦争勃発するや 「軍需景気到来」 と同業者仲間の在庫木材を全部買占め、大儲けしたり、第一次大戦が始まるや 「非鉄金属時代の到来」 と、銅相場に手を出し、此処でも莫大な金をかき集めて仕舞ったのです。

◆大正 5年には、神戸の船成金が、米相場の下落に目を付け、安値を拾っているのを見て仲間と一緒に定七も買出動したのですが、仲間の船成金が病床に倒れ、買い玉を処分し投げ出すと云う情報を耳にし仲間には無断でいち早く、深押しする前に損切り覚悟で即座に全部を売却 したのです。 大量な売りに相場は一気に崩れ出し大暴落から立ち会い停止、売り損なった仲間からは  裏切り者  と騒ぎ出し告訴騒ぎに発展し 「詐欺師」 と云うレッテルを張られて仕舞ったのです。 野望の為には手段を選ばぬ定七。  大正5年、37歳の時には既に数千万円の当時としては巨万の富みを手中にしていたのです。

◆持つものを持つと 人間  度胸もスケ−ルも違ってくるものです。 相場師 7人組を結成し、布陣を張り 堂島の米相場の買占めを断行し、飛竜の勢いで相場を大暴騰させさせたのです。 政府は 「暴利取締令」 「物価調節令」 を次々に実施し、米価の引下げ政策を全面に打ち出しました。 「米騒動」 は全国的に波及し、遂に暴動騒ぎが発生し、堂島を焼打ちすると不穏な情報が飛び交い、高騰に継ぐ高騰から、お定まりの暴落相場に突入したのです。 定七は、此の乱高下を利用し、再び利益を得るのが相場師と 己に惚れ込み豪語していたのです。

◆然し、スケ−ルを拡大すれば、曲がった時の損も此れ又大きい のは当然です。 休む事の知らない相場師の悲劇は、堂島から北浜に移し「新鐘」の買占めを断行してから始まりました。 “猛虎も時を失えばネズミに等しい” 株の世界の経験不足と米相場で覚 えた強引な手法は遂に資金繰りにショ−トをきたし、大量に買った株価は大暴落、 「横堀将軍」 と騒がれた男も、43歳にして力尽き、借金王 に転落して仕舞ったのです。 「無理な金繰り必ず敗れるべし」 幾ら巨万の富みを一時的に手中にしても、持続性の無いのが 海千山千の相場師の世界 。 後々、すぐに崩れる不安定な金儲けは本当の金儲けでは無い証明です。

 「勝てば官軍負ければ賊軍」 相場に破れ、拘置所に拘留され、大正15年に破産宣告を受けて仕舞ったのです。 所が不思議にも、何処からか資金をかき集め、昭和2年には、負った借金を返済し、破産宣告の取り消しを成功させたから驚きです。 破産宣告を受けながら  “借りは借り” と、借り手に立派に返済したのです。 定七 が今尚、後世に語られる所以は此処に有るのです。  昭和20年、敗戦の年の暮れ  定七  67歳にして交通事故に遭遇。  車に当たり急死したのです。 最後の相場に敗れ、最後の人生、車に当たって死んだ定七の皮肉な物語りです。

◆爺は皆様に考えて戴き儲けて貰う。其の為、此のメッセ−ジを送り続けているのです

石井定七 (横堀将軍)

はじめまして
2005年3月17日 21:38:27 石井義雄
寶玉堂様
はじめまして、石井定七(横堀将軍)の子孫です。早速ですが、よくお調べですね。故人(2代目定七)は、当方の曾爺さんにあたります。 

ただし、分家すじですが・・・本家筋は父の伯父で、ご夫婦ともに健在、子供はありません。多くの文献が石井商店となっている中、『今定』の記載があり、関心致しました。

当時石井家は、女系家族(養子ばかり)で私の父の伯父の代からようやく男児が誕生致しました。今でも、岐阜県大垣市の北村家、分家の武田家(武田証券ー倒産)とも未だに法事などで会うこともあります。

先の武田証券を使って、日々株の売買や銀行の買収をしていたそうです。また、大阪市中央区の中ノ島公会堂の寄付を行った人と組んで『米相場』を仕切ったとのことです。

破産後は、大阪府池田市の自宅の蔵から国宝級の品々が差し押さえ・競売のために大量に搬出されたそうです。でも、不思議にも生活に困窮することもなく、家を立ち退くこともなかったそうです。

また、背負った借金は当時世界一の借金王とも呼ばれ、現在の価値で数兆円規模だったとのことです。それを、全額返済し破産取り消し・復権を果たし、現在価値で数千億円を残し亡くなったそうです。ただ、祖父・父の代(親戚一同)で贅沢三昧の生活を送り、蓄財を浪費し今では、大阪北浜に小さなビルが一棟のみになっています。

文中にありました博打に関しては、破産後の復権に向けて打ちまっくったとのことです。ただ、死因は交通事故ではなく病没です。最後に父が死に目に間に合いました。

ちなみに、父の代が始めての勤め人だそうです。お墓は、大阪市天王寺区で、初代『定七』の墓石と並んで眠っています。今後ともよろしくお願いいたします。では、また・・・
         石井 義雄

はじめまして
2005年3月20日 17:09:11 寶玉堂
石井義雄 様

始めまして、ようこそ拙いホームページにご訪問下さり有難う御座います。 其の上、『武将達の戦略』の横堀将軍の記事を御覧くださった由、然も、一般のお方ではなく将軍の直系の子孫のお方がお読み下さった・・・。 驚きと感激と身に余る光栄でいっぱいで御座います。

穴が有ったら入りたい気持ちです。相場を知るには「先人の足跡に学べ」「歴史は繰り返す」と自戒を込めて、彼方此方の資料を集め、思索し、未熟ながら限られた活字のスペースに纏めようとしましたのと、多少、読んでくださる方々にドラマチックな刺激的な描写を心がけました部分が、ご指摘の事実との違いになって仕舞ったのです。是非、文章内容の変更をしたいと存じますので出来ますればどのように訂正・変更をしたならば良いか『加筆・修正』の原稿を頂戴出来ますれば幸甚です。

それにつけても、石井将軍の直系の子孫さまからのメールには、何か宝物を頂戴した気分で尊極無常の喜びこれに過ぎたるものは御座いません。 これをご縁にこれからも宜しくご指導、ご鞭撻を下さり、末永いご交流の程をお願い申し上げます。 先ずは御礼とお詫びと今後のお願いを合わせて、石井様の益々のご活躍とご繁栄をお祈り申し上げさせて頂きます。 

追伸:此処、石井様の書き込みは石井様が『武将達の戦略』から『石井定七』の記事を御覧下さりメールを下さった原稿を是非皆様方にも読んで欲しいと無断で貼り付けたものです。

石井様、ご了承ご快諾をお願い致します。



                寶玉堂  主幹:丸山三代次









http--hougyokudou.news.coocan.jp-★★★
【千軍万馬の武将達】 - 魔法のiらんど
★兜町50周年記念風雲録★