平成10年10月30日　（金曜日）

◆「貧乏人はロシアで政治は出来ない。　誘惑が多すぎるから。　金が無い政治家は地位を利用して汚職に走る。だが、富を築いた者は利権に関心がない。　だから私のようなリッチマンが求められているのだ！」 　とロシアの相場師、ウラジ−ミル・セマ−ゴが次期大統領の椅子を狙って出馬を宣言した時の言葉なのです。 彼は歴つきとした共産党の現職の下院議員であると同時に、ロンドン市場で株の売買をしている相場師なのです。

◆キャディラックを乗り回し腕には１万ドルの高級時計をはめ、ピエ−ル・カルダンのス−ツを着て、女優のような髪の長い長身で妙齢の美人秘書をはべらかし、旅行会社・銀行・高級レストラン等々を経営し、レストランだけでも年間の利益は１５０万ドルを越し、オランダの銀行には儲けた金を預け、その資産は数千万ドルとも数億万ドルとも言われ、彼自身　 「世界一かどうかは分からないが金持ちで有る事は間違い無い」 　と資産家を豪語し、堂々とロンドンの株式市場で相場を張っているのです。 　恐らく日本の株も買ってくるかも知れない。

◆所が、ご承知のごとくロシア経済は完全に破綻し、株価も昨年の８月８日を天井に、インタ−ファックスＲＴＳ指数は５６９・２３から只の６０・４２に大暴落しパニックに陥ってしまった。　加えてル−ブルの切り下げは、ロシアから逃げ損なった投機家の資産は、一瞬にして大打撃を受け、欲の皮の突っ張った賭博師　「ジョ−ジ・ソロス」　も アッ！と言う間に２０億ドル以上をやられてしまったのだ。　ジュリアン・ロバ−トソンも、６億ドルの被害を被り、ロンドンの大手証券のヘッジファンドも大やけどをした。

◆その他、欧米の金融機関の投機資金も、莫大な損失を出し、警戒をしていたメルリリンチ証券でさえ、逃げ損ない１億３千万ドルの損失を出したのだ。　当然、日本の金融機関も大きな被害は表面上では判りませんが発覚した野村証券の子会社保有の割引国債が紙くず同然になった事を認め、ほぼその全額に当たる６億ドル（約７２０億円）の損失を計上したのだ。　海外からロシアへの投融資残高は１２５０億ドル（約１４兆９千億ドル）の８０％は、既に紙くず同然、回収不能になっている。

◆プロ中のプロのソロスも投機のの怖さを改めて噛み締め、運用資金１５億ドルを誇っていた「クォンタム・エマ−ジングＦ」の閉鎖に踏み切ったのです。

◆ここに思い出せば、昨年、米国の経済雑誌フォ−ブスでは　「今、日本を買え」　と題する特集記事が掲載された事が有った。　「米国の株価が上昇を続けている間に、最高値のほぼ半値水準に止どまっている日本の株を見直す時ではないか」　と書かれていた。　更に　「系列企業同士の株式持ち合いなどで株主を軽視してきた日本企業が、政府の進める一連の制度改革もあって、株主重視に転換し、日本全体がもっと効率的な経済になる」　と予測していた。　既に株主総会を日曜日にした企業、ストックオプションを法制化した企業、持株会社の解禁、自社株買いの実施、ストックオブションの導入、少数精鋭の取締役、株主重視などに言及し、日本の年金や生保も収益重視の傾向を強め、米国に似たシステムに移行する傾向が出て来ていると結論づけていた。

◆フォ−ブス誌と全く逆の悲観論を打ち出しているのだ。　下落相場を当てた　 “プリンストンエコノミック"　 の日経平均トレンドレポ−トでは、短期見通しを、今回の戻り相場は　「強気転換点２個を突破したことから安定する」　と述べながら長期トレンドは　「下向き」　更に　「今回の上昇の息切れを強く示唆し、売りの圧力を受けていた」　とし、目先システム上の下値支持線を割り込んだ事を挙げ、「本年末の最終日￥１２８８２円を下まわると、明らかに新たな急激な下降波動入りのシグナルとなり一万円を割り込み ￥９７００円 水準へ一気に下げる」　と警告を発している。
　　　　　　　　　　　　　　　平成10年10月30日　（金曜日）　　　寶玉堂のテレホンメッセージの原稿です。
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　　★　爺は皆様に考えて戴き儲けて貰う。其の為、此のメッセ−ジを送り続けているのです。

ウラジーミル・セマーゴ