第１回目
◆明治11年(1878年）テキサス衆に生まれた ウイリアム・デルバ−ト・ギヤン
は家業の綿花農場で働く事を嫌って１６歳で家を飛び出し、新聞売りを振り出しに社会の荒波に乗り出し、翌年１７歳にして綿花の問屋に就職して働きながら相場の世界を知り、２４歳で、初めて商品先物取引に手を出し、相場を張り、金儲けの味を知り、２６歳にオクラホマの証券会社に移り、証券外務員に転職し、マネ−ジメントの一方、手張りを遣り出したのです。 以来とりつかれた見たいに株の売買を繰り返しながら、昼夜を問わずに図書館に通い、あらゆる本を読み漁り、調査・研究に没頭し、得た結論は 「
歴史は繰り返す 」 だったのです。
彼の実績は、素晴らしい成功の連続で、才能はすぐさま頭角を顕わし、３０歳の夏（明治４１年）一ケ月間で手持ちの現金
４５０ドル を ３万７０００ドル にしたのです。 この才能を高く評価した投資ダイジェ スト誌から、「是非一ケ月間の売買回数の記録と成果を見せてくれ」 と依頼をして来たのです。 ギャン３１歳の秋でした。
◆彼は雑誌社にモニタ−を許し、早速株式売買を開始し一ヶ月で合計２８６回の売買を重ね、実に２６４勝２２負の成績を収め、利益を稼ぎだし出資金を１０倍にして見せたのです。 ４５歳の時には９７３ドルを二ヶ月間で３万ドルにした事もあったのです。 ５５歳の時には４７９回の売買を行い４４２勝の勝星を記録し、８８％の勝率の利食いを行い、利益率は４０００％、４０倍の利益資金を得たのです。 昭和３０年、77
歳にして、ウォ−ル街４５年の仕事を終え、今はこの世にいませんが、彼の生涯での株式売買利益は、実に ５０００万ドル以上を手に入れたのです。
◆此の利食い金は、当時の経済情況から見て驚異的な数字です。 彼の彼たる所以は、多くの相場師が大儲けの夢が忘れられず、自滅する姿を見て、株の世界を支配している基本原理は 「
自然の法則に基づいている 」 と主張し 「過去に有った事はこれからも必ず有り、過去に起こった事はこれからも必ず起こる。 太陽の下、新しいものは何ひとつ無い!
見よ ! これこそ新しいと言って見ても、それも又永遠の昔からあり、この時代の前にもあったではないか
」 と言い 「 歴史は繰り返す 」 と言うのです。
◆欧米にはテクニカル分析で有名なのは、チャ−ル・ダウ と ラルフ・ネルソン・エリオット、そして、
Ｗ・Ｄ・ギャンの３人を挙げれば、理論と実践で財を 成したのは、証券外務員の資格と実績を持ち、多くの修羅場をかい潜って生き抜いて来た経験の持ち主、研究熱心のギャンこそ相場の真髄を知り、勝利者と言って過言ではない筈です。
遊ぶ事は激しく、短く、深く、学ぶ為には決して長期の休暇は取らず、興味を持ったものに対して、強き向学心を燃やし続けた男だったのです。 だから勝利の道を歩き続けられた賢者になれたのです。
◆ギャンの実践理論は、多彩で簡単には語り尽くせるものではありません。 然し、要約するとギャンは 「
其の時々の対応は其の時々に以って異なり変化 し応用する為の調査と研究を重ねろ
」 と言うのです。 更に株取引に不可欠な資質は忍耐・勇気・知識・そして健康と休息が必要
と説き、ご丁寧にも、決して失敗しない ２４のル−ル 迄示しているのです。
◆明日は「失敗しない２４のル−ル」 ギャンの真髄についてお話しさせて戴きます。 寶玉堂は皆様に考えて戴き、儲けて貰う。 其の為、此の落書帳を書き続けているのです。
ウイリアム・デルバート・ギヤン
第２回目
◆ 昨日はＷ・Ｄ・ギャンをご紹介しました所、物凄い反響を戴きました。 書店で見た本に書いて無い内容と、人から話を聞いた人物像と感じが違い具体的に明瞭に要点を分かりやすく纏めてあるとゴマスリいっぱい有り難うございました。
◆扨、ギャン理論を続けさせて戴きます。 初めの調査と研究はトレ−ダ−の仕事です。 時々の対応は知識と経験です。 忍耐は恐れや願望を捨て辛抱強く成れと と戒め資金があっても勇気が無ければせっかくのチャンスが来ても逃がしてしまうと言うのです。 知識と言う事は真実を知ると言う事で経験です。 ギャンの駆け出しの頃は大儲けもあったがその後には未熟なるが故に必ずその儲けを吐き出し振り出しに戻ってしまった事が何度もあったのです。 しかしギャンは失望したり諦めたりはぜず失敗する度にそれを肥やしにした経験を重ね成長していると考え懲りずにチャレンジを重ねたのです。
本当の火の熱さを解るのはヤケドをして初めて知り、間違いも失敗も無い人生は無く、それを貴重な体験として捕らえ進歩への踏み台にするか否かがギャンは 『鍵』 であると言うのです。 ギャンの関係する証券会社が倒産した時、ギャンは全財産を失った事があるのです。 ギャンの友人が 「彼は金は失ったが株式相場に関する彼の知識は何１０万ドルに値えし、間もなくその知識を金に換えるだろう 」 と言った通り、案の定、数箇月後には、僅かの資金で積極的に相場を張り出し、大儲けをして、２度と倒れる事の無いギャン理論を完成させたのです。
◆健康 と 休息 も相場の世界には重要な要素とも説いてます。 健康を害しているとまず判断が歪み、偏より、見方は狂ってくるものです。
休息も取らずに毎日、毎日、相場を張り、振り回され、全部のチャンスを逃さないなんて豪語している奴は、「早かれ遅かれ無一文になるのが積の山だ」 と戒めているのです。 金儲けは確実に儲かると言うシグナルの出るのを注意深く狙い待つ、そしてその兆候が顕れたら、勇敢に行動を開始すべきで、その時を急いではいけないのです。
冷静、沈着の心こそ大事。 更にギャンの相場の張り方は、決して前以て儲けの額を決めたり、抜け出す時期を特定してはならず、利食いの出来る相場の時の、“機敏な動き” の必要性も強調しているのです。
◆「失敗しない２４のル−ル」 株式必勝法の実践理論を述べる前に、まず株式投資をする為の基本ル−ルを知って戴きたいのです。
其一、僅かの期間で決して金持ちに成ろうと思ってはいけません。 沈着で知識の有る人は、短期間で莫大な利益を挙げた人は確かにいるかも知れません。 然し、それは絶対に持続不可能なのです。 産業界に於いてはヒット商品に恵まれ、飛躍的な業績向上、大発展と言う企業は確かに有ります。 だが、株の世界は極端に 山あり谷あり波乱あり 大儲けの後には必ず欲張り過ぎて深みにはまってしまうものなのです。 投機ではなく仕事と考えれば、まず１００万円を１年間で２倍にする事を考え、これを１０年間倍にし続ければ５億円以上になるのです。 焦らず恐れず、時間をかける余裕 を持つべきです。
其二、最も重要な事は株式投資の必要資金の額の設定です。 実力以上の無理した資金の投機は必ず壁に突き当たり投げさせられます。 絶えず控え目な資金の投機に徹し、分散する事こそ肝心です。
其三、資金の額と同様に大切なのは意志の強さです。 欲の張りすぎから判断ミスを犯し、株価が逆行した時に迷わず投げる勇気です。 米国取引にはこれをストップ・ロス・オ−ダ−といっています。 早い投げこそ怪我も少なく、次のチャンスを掴む秘訣なのです。
其四、過剰売買は損失の最大の原因です。 欲に目がくらむと必要以上に売買を重ね、動きが取れなくなり別の儲けのチャンスを逃がすと同時に、資金を失う事になるのです。 これ控え目の大事なル−ルです。
其五、引かれ難ぴんやるべからず。 過剰取引から引かれ難ぴんにはいると、曲がれば致命傷で、命取りになる可能性が大きく危険です。 ピラミット型の利乗せは、波に乗れば、時には良いでしょうが、仕掛けが肝心のル−ルです。
其六、常にあらゆる手段を行じて元本を守ること忘れるべからずです。 願望を捨て現実を直視し、期待は裏切るもので頑固は身の破滅です。 逆に動いたら逆に付けばよい。 君子は豹変し、愚か者はそれが出来ないのです。
◆以上の基本のル−ルを、まず年頭に置き、初めてギャンの 「決して失敗しない２４のル−ル」 が理解できると思います。 来週は必ずお伝えさせて戴きます。 是非、巨万の富を一代で築いた証券外務員だった ギャン理論 を身にお付けて実践に役立たせて戴ければ幸甚です。
第３回目
◆ウイリアム・デルバ−ト・ギャンの話しは今日で３回目です。 １回目は、彼の生い立ちと理念。 ２回目は株式売買の心構えと基本のル−ルに付いて話をさせて頂きました。 今日は、総括・実践編 「決して失敗しない２４のル−ル」 を、簡素化してメッセ−ジさせて戴きます。
１、資金額は１０等分し１回の取引資金の１０分の１以上のリスクを取らぬ事。
２、仕掛けた株は常に損切り限界ラインを設定しポジションを必ず守る事。
３、過剰売買は決してしない事。過剰売買は資金運用の原則に反し動けない。
４、儲けを損失に変えずに利益評価が出たらストップ・オ−ダ−を近付ける事。
５、トレンドに逆らわずチャ−トに従いトレンドに確信なき時は売買をせぬ事。
６、疑わしき時は手仕舞い取引を中止する事。
７、活発な銘柄のみに絞り動きが鈍く活気のない銘柄には手をださない事。
８、リスクの均等、出来れば４・５銘柄に分散し一銘柄集中投資は避ける事。
９、指し値をせず売買の価額を固定してはならず成り行きで売買する事。
10、理由なき手仕舞は不可、利益確定のストップ・オ−ダ−でフォロ−する事。
11、実現益は貯蓄し連続取引に成功したら一部は温存し、緊急時だけに使う事。
12、配当目当てで株は買わぬ事。
13、灘平をしない事。灘平はトレ−ダ−の最大の誤りであり判断ミスである。
14、我慢が出来ないと言う事だけで相場から逃げ出さず、待ち切れなくなったから
と言う理由だけで手を出してはならない。
15、小さな儲けと、大きな損は絶対に避けるべきである。
16、建玉と同時にストップ・ロス・オ−ダ−を出しキャンセルしてはならない。
17、あまり頻繁に売買はしない事。
18、買いを嫌わないのと同様に空売りも嫌らってはだめ。トレンドに従い儲け
る事のみを目的とせよ。
19、株価が安いと言う事だけで買ってはならず高いからと売ってはならない。
20、ピラミッティングのタイミングに注意を払い、株が活発になり抵抗線を抜
けてから買い増しを入れ、支持水準を割る迄待って売り増しをかける事。
21、買い場でピラミッティングをする時は、発行済み株式数の少ない銘柄を選
び、空売りの時は発行済み株式数の多い銘柄を選ぶ事。
22、ヘッジは決してせず、判断ミスで下落したらこれをヘッジの為別の銘柄を
空売りする事は謹み相場から手を引き損を確定させ、次の機会を待つ事。
23、充分な理由なしにポジションを変えない事。仕掛けは充分な理由と明確な
計画による事でトレンドが変わる徴候なしには手を引いてはならない。
24、長期間成功し、儲け続けた後での取引株数を増やす事は避けるべきである。
◆些、皆様はこの２４のル−ルを如何に活用し、如何に実践するか、それは貴方次第です。
是非、成功を収め、真の勝利者に成られん事を只々願う者です。
◆寶玉堂は、ギャンと比較すべき柄に非ずですが、戦後、証券取引所が再開された２年後の、昭和２６年にイガグリ小僧のツメ入り姿で、修羅場の兜町に足を踏み入れ、黒板書きから場立ちを経て、少ない月給の昇給を社長に要求した所 「馬鹿野郎！下らぬ要求よりまず金儲けと女を覚えろ！」 と、一喝され、その通り実績を積み、証券外務員の資格を取得し、２４歳で支店長（初代営業所長）、３０歳から歩合外務員生活３３年。 此処に50年間の証券会社生活にピリョウ−ドを打ち、今、東証ペンクラブ（昭和４０年設立以来）での執筆活動を重ね、外務員協会の理事・参与を歴任しながら、仕上げの人生を 寶玉堂の主幹として モニタ-に耐え、答える得る実績を重ねつつ 「理論と原則 ・ 戦略と分析 ・ 経済と政治 ・ 世界と日本」 を見つめ、お仲間さんの為にと、非力ながら身を削り頑張っております。 本格的な仕上げはこれからです。
世界唯一の ビックビジネスチャンス・ジャパンストックマ-ケットを見つめて・・・。 日本の証券市場は、まさしく
『深海に眠る財宝の山』 皆さま方と、ご一緒に掴まうではありませんか・・・。 寶玉堂は皆様方に考えて頂き、儲けて貰い度いと、メッセージを送り続けているのです。
（三回連続掲載）