◆孫子（そんし）は中国最古の戦略家と言われている軍師です。彼の兵法の根底に流れているものは人間の深い洞察力と勝負に賭ける執念です。その為には努力と忍耐力は人並み優れ、両足の不具にも拘わらず十万の軍兵を馬陵で打ち破った百戦百勝の持ち主なのです。
◆戦も相場も所詮は勝負の世界で掴み所のない生き物との戦いです。宙に舞う蝶を捕らえるにも深海の魚を釣り上げるにもそれなりの戦略が必要なのです。「その疾き事は風の如く、その徐かなる事は林の如く、侵掠する事は火の如く、動かざる事は山の如く、知り難き事は陰の如く、動く事は雷ていの如し」と変幻自在の行動をも以っての迂直の計が大事と説き「勝は易く、守りて勝つは難し」と勝負は防御で勝つ事だと言うのです。更に「可なるを見て進み難なるを知って退く」と勝つ条件を見極めての出陣以外は不安や中半端な状態や占いなどに頼ったりいてはならぬと戒め冷静沈着な判断と敵の出方を知る事が第一と言うのです。
◆「戦い勝ちて天下善と言うは善の善なるものに非ず」と戦いを始めてから勝利を掴むのではなくまず勝利の条件を整えてから戦に望まねばいずれは敗者・敗北に追い込まれ戦上手とはいえず「天下は一人に非ず、即ち天下の天下なり」と天下の利益は万民の物、利をわかち合う所に利が集まり天下も従い、欲多く一人じめの心生ずる時、財は逃げ天下を失うと戒めているのです。
◆「文武を総ぶるは軍の将なり剛柔を兼ねるは兵の事なり」と剛と柔を兼ね備える大事と勇気と力だけでは本当の勇者でもない武将でもないと武将条件を定め「用意周到、管理能力、決断力、警戒の心を秘め、固定せず変化に対応する柔軟性を以って水の高き所から低き所に流れる様に、その流れに逆らわず流れる速さを知る事」と言うのです。
◆「兵は益々多きを貴ぶに非ず」と数の大小でもなければ多数の意見が絶対でもなくむしろ異体同身の少数精鋭の身も心も同じ同志の固まりこそが勝利の道を切り開き喜びも大きいとも説いているの。相場の失敗は得てして地合いに目くらみ盲になって調査・研究を忘れ、大局観も人間の心理の変化も不測の事態も考えず、只、儲ける事だけに集中し、強欲の為の判断ミスに動揺し後悔の涙を流す輩に警告しているのです。
◆孫子の格言は決して古きいにしえの言葉でなく今の証券市場に充分当てはめ考え参考になる筈です。寶玉堂は皆様に考えて戴き儲けて貰う。その為このメッセ−ジを送り続けているのです。
孫子の戦略